童話 おさかなのとんだ日 最終回

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そしていよいよお月様が登り始めました。トビウオのお兄さんは、少しだけの眠りから覚めてまたテーブルサンゴのある場所まできてみると。

お魚達が、たくさんあつまってきてくれていて、感動しました。満月は穏やかな海をてらし、岩場にさしこんだ光はきらきらとかがやいてい

ます。

「まほうみたいなこといわないで!」といっていたカレイまできています。

「やあ、君よくきてくれたね」

「ぼくも一度だけでいいからとびたいなって思っていたんだ、とべるよね!」

「もちろんさ、きっと日ごろのストレスが解消して、すうっとするよ」

シマアジの群れも、イカもバカにしないで、といっていたのになんだか興味シンシンな様子でみまもります。

トビウオの仲間や熱帯魚も。ヒオウギ貝もきています。

カサゴのおばさんは、とびたくてうずうずしているみたいです。

「ねえ、トビウオのお兄さんまだ?」

「はいはい、お月さまが真上にきたらね。ぼくがああいずするからよういドン、でね」

こんなに色々な種類のさかなが集まることはまずありません。それだけでも見ごたえのある景色でした。

「さあ、よくあつまってくれました!今日はマンタのおじさんもみまもってくれています。皆さん、今からはじめます。昨日も

練習したように、いや、練習しなくてもできるのです。体をすこーし傾けて、40度の角度であたまを持ち上げる。そのとき

ひれをうごかす。すると海面にすっととびだせるのさ。ここは浅瀬だ、太平洋に向かってまっすぐ進むのさ。

ここ場所はふしぎナスポットなのさ。まずぼくが飛ぶのでみていて」

トビウオのお兄さんはそういうと真っ先に体をかたむけ海からとびだしました。

続いてカレイが、シマアジが、そしてイカも。カサゴのおばさんもとんでみました。

「うわっ!、勇気だわ。勇気を出したらとべたわ!」

「とべる!飛べる、ほんとうだ」

その光景を、皆の後ろ側でマンタがみまもっていました。マンタのおじさんは涙が出そうにうれしい顔をしています。

中には小さなフグの子もいました。子供なので飛ぶことに苦労しているようです。

「心配いらないよ。そうそう頭をかたむけて・・今度はヒレをうごかす。さあ、お兄さんといっしょだよ」

「わっ、とべたぁ!」

ヒオウギ貝も(どうしてぼくがとべるんだろう!)と思いながらピユーンととんでいきました。

「きゃあ、すてき」

カサゴのおばさんはとても気にいってさけんでいます。マンタの群れはその先へおよいでいきました。

「やあ、トビウオ君、よかったね~。大成功だ。さあ、見届けてこれからまたぼくらはとおいところへいくよ。さようなら」

「ありがとう、マンタのおじさん・また十年後にはぼくの孫、孫~・いやあえるかはわからないけど、わすれないよ」

「そうだね。わたしも十年は無理だが、またいいつたえておくよ」

なんだか涙がでそうなわかれでしたが、トビウオのお兄さんはとても不思議で満たされた気持ちになりました。

それは自分の胸に海があるような広い気持ちでした。

そのころ大海原では、大きな船の甲板から何人かがみていて、次から次に飛んでいるお魚を発見していました。

そしてそれは満月に向かって吸い込まれるように飛んで吸い込まれていく不思議な光景でした。

「おや、今頃どうしたことか。魚が月にすいこまれていく!」

(そうなんだよ、人間のみなさん、ぼくたちは空をとべないので、なぜこうしているか、わかってほしい。これ以上海をよごさないでほしい)

と、さけんでも聞こえない魚たちのメッセージ、声はでないけどさけんでいました。

日ごろのストレスも吹き飛び、心はからっぽに、まっさらになりました。

やがて、皆海に戻っておよぎはじめました。







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