童話 おさかなのとんだ日 5

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「あれはね、十年に一度だけ、それが今夜の大潮のときなのさ。場所は東の浅瀬、岩がたくさんある。そこがちょっと不思議なスポットなの

さ。その時はまず体を40度にかたむけて、思い切りジャンプするとほとんどのさかなはとべるはずだ。そこから広い海にむかってとぶんだ!

君のおじいさんもやっていたよ。しかし、君の世代交代が早いので、君が生きている間にはつたえられない。そこでこの時期いつも

ここを通るぼくに、もし若いトビウオにであったら教えてやってくれとたのまれた。

うん、そうだ、一つだけ三角のようなつき出た岩がある。そこにはいそぎんちゃくもたくさんいる」

「えっ~そうなんですか。いやーありがとうございます。体を40度にかたむけるだけでとべるのですね?」

「東はわかるかね。朝日の出る方行だ。お日さまは出たらむかってまっすぐにいくがいい。必ず浅瀬にたどりつくよ」

トビウオのお兄さんは、なんて優しいマンタんだろうと思いました。

こんな大きな体で、マンタがくしゃみをしたらトビウオくんは吹き飛ばされそうに小さいのでした。(くしゃみはするかしないかは疑問です)

トビウオのお兄さんが、飛んでみたいさかなたちに呼びかけたのでたくさんのさかなが集まってきました。

「さあ、いよいよ飛ぶ時が来た。今夜だよ。今のうちに飛ぶ練習をしておこう」

ということになりました。

「教えて、おしえてどうやったら飛べるの?」

「今は練習だし飛ぶことはむつかしいけど、こういう具合に体を横にすこしたおして・・」

「これでいいの?」

「いやいや、それじゃたおしすぎ。それは45度だ。真っすぐよりすこしあいまいな角度だ」

「むつかしいなあ、あいまい・・といわれてねえ」

「なんだかよく分からないけど・・・」

「直角というのが45度だから、それよりかはまだ少し左、かな?…そうそうそれくらい」

皆思い思いに練習をしていましたが、その時突然誰かがさけびました。

「た、たいへんだ!シャーク(サメ)だ!」

「何?シャーク、本当かそれは」

大変です。練習や、説明をしてる場合ではありません。

「全員にげよう、傷のある者はいないか?」

シャークだったら、血の匂いに誘われてかぎつけてきます。そして遠慮なくおそわれることになるかもしれません。

「逃げよう、早くにげるんだ」

泳いで、波にのって、無我夢中で・・。浅瀬に逃げるといいと思いました。シャークも深いところしかいけないからです。

浅瀬が苦手なさかなもいますが、とにかくにげなくては。

「こわっ、あ~たすかったみたいね。トビウオのお兄さんありがとう。浅瀬はいいが、苦しいからさよならするよ」

それは少しの傷を持ったシマアジでしたが、大きいので浅瀬には長くいられません。漁師の網にかかって逃げてきた

シマアジでしたが、傷はまだいえていませんでした。

「危ないところだったが、よかった。さようなら~」とさっていきました。

鯛の母さんは、とてもいい目をしていて、シャークがきたよ、という情報をくれたさかなでした。

その目は大きくて、身体はピンク色でとてもきれいな鯛の母さんです。

自慢気にきれいな大きな目をパチパチさせてウインクもしてみせました。なので皆とてもよろこびました。

「あっ、ここかな?つき出た岩がある。ここはマンタのおじさんが言ったいわばにまちがいないよ」

トビウオのお兄さんは、よくしらべると、その浅瀬は途中から急にふかくなっていて、大きな魚でも長い間その場に居られる

不思議なところでした。

「では~皆さん、集合にはまだ一時間ありますので少しまってください。サメはしばらくしたらどこかへいくかもしれません。ぼくが

みはっていますよ。安心して」

「だめよ、それはキケンだわ。私が見張るわよ、あんたはさ、食べられてしまうよ」

そう言うのはカサゴのおばさんです。ミノカサゴは大きく、ひらひらした体はきれいですが毒があり、誰からもたべられないように

自分で身をまもっています。

「ありがとうおばさん!」

カサゴのおばさんはとても協力的です。

「私もいくよ!」

と名乗り出てくれたのはフグのおねえさんでした。フグのおねえさんとカサゴのおばさんは連れ立ってサメのいる場所へは平気で

これみよがしに眼の前をとおりすぎます。

サメはそれを見て、ものすごく冷たい眼つきでおいますが、<まずそう・・おまえたちなんかたべるもんか>とにらんでいます。

「いやな目だこと、私達はまずいのをしっているらしいわ。めいわくよね」

「ね~。カサゴのおばさん、私もああいうの大嫌い!」

その時サメの目がぴかっとひかりました。

「おい、何かいったか?」

「い~え、なにも・・」

口は強気ですが内心はこわいのですが、平静をよそおっています。

「悪口じゃねーのか?」

「いえいえ、ふかひれは人間に食べられるけどサメはだ~れもたべられないそうですから」

フグのおねえさん、なかなかいうじゃん~とカサゴのおばさんはふるえながら感心していました。

サメはフグの言葉に、ほめらているのかけなされているのか分からない風でした。

(そうだよな。そういえばさ、去年、おれの友達のフカが人間につかまえられて・・・あとはどうなったか。

だが俺はいったん網にかかってそこですてられたんだよな)

とサメは妙に納得しました。

続く

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